東日本大震災復興プロジェクト
東京電力福島第一原発事故で発生した除染廃棄物等を、最終処分までの間、安全に集中的に保管するための中間貯蔵施設区域。
その施設内にあるボイラー施設の解体をおこなった。帰還困難区域に加え、焼却による有害物質(ダイオキシン等)が含まれる環境下での作業。奮闘を続けるリーダーに話を聞いた。
渡辺さんが取り組んだ「中間貯蔵施設内における解体工事」について教えてください。
工事は2022年11月から始まりました。
焼却による有害物質(ダイオキシン等)が含まれている施設のため、有害物質の除去・除染をしてからの解体が必要です。
ダイオキシン等の除去・除染作業では、周囲に飛散の影響を及ぼさないよう、焼却施設自体を仮設の大型テントで囲うところ
から始まりました。その後、内部の汚れた空気が外部に漏れださないよう、大型集塵機(大きな掃除機のような機械)でテント内空気を入れ替えながら除去・除染作業を行います。(第三管理区域の装備での作業)除染は基本的に高圧洗浄法を用います。洗浄によって発生する汚水は、バキュームにて回収し水処理プラントへ随時移送します。
本来、ダイオキシン等の除染が完了して第一管理区域で建物の解体を行うのですが、地震の影響で一部倒壊している部分があり、撤去→除染を繰り返しでの作業も発生し作業環境の確認、作業時間の管理等を適切に行う大変さはありました。
中間貯蔵施設内の特殊施設解体で心がけた点や特別な取組等はありましたか?
当該特殊施設の解体工事は、有害物質(ダイオキシン等)が含まれる環境下のため、管理区域別に決められた装備(保護具)での作業となります。作業員の負荷軽減等の目的で一部ロボット操作の重機(遠隔操作)を使いながらの解体作業も実施しました。
初の試みであったため、機械の選定及び重機OPの操作の不慣れで苦戦はしましたが、今後は、あらゆる現場でロボット
による作業を導入していくことにより生産性の向上・労働災害の防止に繋がっていくと思います。
新たな学びや発見はありましたか?
これまで当工事メンバーが経験してきた建物等を解体する感覚 から建物等(仮設テント)を構築することになりました。
仮設テントといっても、大きく、強度のある基礎を構築して設置する ため、鉄骨(S造)の建物を建てるのとほとんど変らない作業工程が必要です。(位置、レベルの測量→基礎均しコン→鉄筋、型枠組立→アンカーセット→コン打設)アンカー位置がずれるとテントの柱等は、建ちません。当工事のメンバーは、測量・コンクリートの取り扱い経験が少ないため
松本次長を筆頭に打設の影響によるアンカー位置の精度確保及び暑中コンクリートの扱い方など日々勉強しながらの工事管理を行いました。
当該工事現場代理人(松本次長)
いままで土木、解体の経験はありますが、今回は一部、建設工事も含み特別な施設(テント)の構築・ダイオキシン対策など
慣れない工事も多く協力会社とコミュニケーションをとり元請の指導も受けながら日々勉強しながら工事を進めてきました。
今後も、学び続ける向上心を持ち、復興に携わった経験を誇りに仕事に取り組んでいきたいと思います。
復興への思い
震災から日々が経ち、少しずつ復興は進んでいるが、現場の被災地域には、まだ震災当時の建物がたくさん残っています。
立入が制限され、自分の家に入るのにも許可が必要です。
そんな方々が1日でも早く安心して帰れる場所になってほしいと願っています。